薫蓋樟について
本殿前の大楠は、「薫蓋樟」といわれ大楠の中でも特に有名である。根元に瘤起多く、目通り周囲約13・1メートル、高さ約30メートル、枝振りは東西に約40メートルで、楠の大きさとしては全国有数のものである。昭和13年(1938年)5月10日付で、当時の内務省より国の天然記念物に指定された。少なくとも1000年以上の樹齢をもっていると思われる。根元に碑があり、左少将有文の歌が刻まれている。
村雨の あまやどりせし 唐土の
松におとらぬ 樟ぞ此のくす
この和歌の作者、左少将有文とは公家の千種有文(1815~1869)のことで、幕末から明治維新にかけて岩倉具視らと共に活躍しました。しかし明治2年に死去したので、具視ほどには有名になりませんでした。本姓は村上源氏の久我家末流で家禄は150石、代々和歌の家柄として知られています。
この薫蓋樟に代表される楠は、市内の社寺等で雄姿を見ることができ、広く市民に親しまれています。楠はわが国に産する樹木中最大の常緑樹で、地にどっしり根をおろし、大空に向かって高くそびえるその姿は、門真市の将来を象徴するものとして「市の木」にも選定されています。(昭和48年1月)